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ユニボット株式会社 大槻代表の独白

2018年8月15日 案件情報

「私がAIBOの開発責任者だった19年前、日本のロボット開発水準は間違いなく世界トップでした。しかし、現在の状況を見るとアメリカに後塵を拝していると言わざるを得ません。さらに最近は、中国の成長も著しい。しかし、今再び日本が開発のトップを狙える確信が私にはあります

大槻 正(おおつき・ただし)
1948年京都府生まれ。静岡大学工学部電気工学科卒業後、ソニー入社。’94年に退社し、ナムコ(現・バンダイナムコゲームス)に入社し、3次元CGのハードウェア、ソフトウェアを研究開発し、商品化。’97年にソニーに戻り、AIBOの開発・事業化を行う。’03年にソニーを退社後、スミダコーポレーション、ニコンを経て’11年、インタラクティブラボラトリーを創業。’16年、会社の前身であるユニティガードシステムで人工知能を活用したPepperの接客・警備アプリケーション“UNIBOT”を開発・商品化。’17年同社からユニボット株式会社を分割新設し、代表取締役に就任。

こう語るのは、世界の家庭用ロボットAIBOの開発の父・今年70歳を迎える大槻正氏だ。世界のロボット業界において、彼を知らない者はいない。

1999年、ソニーの社員だった大槻氏はあの犬型ロボットAIBOを発表し、世界に衝撃を与えた。彼はそれまで存在しなかった「家庭用ロボット」の市販化に初めて成功したのだ。

2006年に製造・販売が中止されて以来、AIBOは2018年に復活を果たした

あれから19年――。

大槻氏はナムコ(現バンダイナムコ)、ニコンなどを経て、ユニボット株式会社を2017年に設立。世界一の画像解析技術を持つロボットメーカーを目指す。

そして彼はいま、再び世界一のサービスロボットの開発に取り掛かろうとしている。世界的にAIブームが席巻する中、ロボット開発の分野において、いよいよ本丸の登場といったところか。

第三次人工知能ブームは何がこれまでと違うのか?

なぜAIBOは犬の形をしているのか?

日本が世界一の”親ロボット国”である根拠は?

すべて答えてもらおう。

これは、かつて技術大国と言われていた日本の大逆転シナリオを描く70歳のロボット開発者の独白である。

ゼロ年代、日本のロボット開発が後塵を拝してしまったワケ

ーー大槻さんは、1999年にAIBOを開発されています。当時はかなり話題になりましたが、その後なぜ日本は遅れをとってしまったのでしょうか?

その前に、基礎的なことを確認しておきましょう。ロボットは大きく2種類に分かれます。サービスロボット(家庭用ロボット)と、産業用ロボットの2つです。私が専門とするのはサービスロボット。これは、ルンバのように家庭で使われるものを想像してもらえればわかりやすいでしょう。対して、工場などで工作機械として導入されるのが産業用ロボット。こちらは日本の開発力がピカイチですが、2010年代、日本のサービスロボット開発はアメリカに遅れを取ってしまいました。

ーー問題はサービスロボットの開発のほうだ、と。

はい。開発が遅れている原因が大きく2つあります。一つは価格が高すぎて普及していないこと。現在、国内の警備用ロボットはセコムとALSOKが販売していますが、たとえばReborg-X(ALSOKが販売)というロボットは一台で1500万円。とても気軽に購入できるものではありません。売れなければさらなる開発資金は調達できませんよね。2つ目が、開発に時間がかかりすぎていること。こちらのReborg-Xは販売まで8年の時間を要しました。

ーーなぜここまで開発が遅れたのでしょうか?

原因はいろいろありますが、資金調達が進んでいないというのも大きいでしょう。一方、アメリカでは廉価な警備用のロボットが急激な勢いで普及しています。例えば、ナイトスコープ社の商品は、月1000ドル前後でレンタルできます。これは、深夜の駐車場などを巡回し、画像を認識するロボット。集めた画像を中央のデータセンターに逐一データを送りこむことで、火事を見つけたらそのアラートを防災センターに送ることで救急車を早く呼べるというわけです。

ーー廉価なものが普及している、と。では、高機能なロボットの開発は日本のほうが得意なのでは?

そうですね。実は、1999年当時のAIBOにはすでに簡単な人工知能が積まれていました。最近よく聞くニューラルネットワーク(人間の脳神経系のニューロンをモデル化したもの)の仕組みをAIBOでは実験していました。しかし、その後はロボットプロジェクトが中止となり、人工知能開発に勢いを持たせることができなかった。

世界を変えるロボットとは何か

「近い将来、店員の数よりPepperの数のほうが多い店は珍しくなくなる」という

ーーいま、第三次人工知能ブームが起きています。このブームの中で、大槻さんは再び世界を変えるロボットを作る、と。それは、どういったものか簡単に教えてください。

精緻な顔認識ができるカメラを搭載した、Pepperを動かすアプリを開発しようとしています。例えば、スーパーを訪れたお客さんにほしい商品を聞いて、売り場まで誘導し、今日のセール品まで紹介できるようなロボットです。

ーーアニメの世界に出てくる店員型ロボットですね。しかし、それがそこまで革命的な開発なのかイマイチ理解できません。むしろ、いまのPepperにはそれができないのでしょうか?

実は、できないんですよ。現在、Pepperを導入しているIT企業が多いですが、Pepperが自由に動いているところって見たことありますか?

――いえ、会社の受付にいるイメージですね。

ですよね。そうなんです。実はPepperはそこまで動けない。たとえば、会社の受付で「営業部の佐藤さまをお願いします」と伝えて、その佐藤さんのところまで案内するような「受付嬢」のような業務をPepperはできないんですよ。

日本人の 99%は Pepper を知らない

――あくまで、Pepper はその場を動かずに応対することしかできない、と?

そうなんです。Pepper は簡単な質問に答えることや、内蔵のカメラで顔を認証することで人物を特定することはできます。特に画像認識は AI の技術進歩とともにかなり進化してきています。その一方で、”動き”はぜんぜんダメ。また、それほど高速な CPU を持っているわけでもない。なので、雑談のような日常会話を人間と同じスピードでこなすのはできなかったりする。

ーーたしかに、Pepperはノロいです(笑)

そもそも、日本人の99%はPepperをちゃんと知らないと思います。AIBOやファービー(注・アメリカ発のおしゃべりするぬいぐるみロボット)と同じく、量産型でみんな同じものを買っており、どれも同じ機能だと思っているでしょう? 簡単に説明すれば、PepperはiPhoneと同じです。

ーーiPhoneとの共通点は?

こう考えてみてください。IT企業役員のiPhoneと、女子高生のiPhoneの中に入っているアプリは全然違いますよね? それと一緒で、Pepperによってそこに積まれているアプリは違うのです。Pepperにはたくさんのアプリがリリースされており、どんなアプリを実装しているかでPepperの機能が変わってくる。Pepperの中で開発が多いアプリは会話や受付のアプリです。

ーーなるほど。

しかし、開発が遅れているのがPepper自らが動くアプリです。先程申したように、Pepperは自分で動くことができない。しかし、自分で動けるようになれば、活躍の場はかなり広がります。スーパーの売場案内はもちろん、介護ロボットとして身体の不自由な高齢者のかわりに家の中を巡回して家事をしてくれたり、買い物に行くことができる。

ラジコンのリモコンが見えなければ、ラジコンに意思があるように見える

ーーPepper自分で動くのが難しい、とのことですが、大槻さんはなぜ自分で動けるPepperを開発できると自負しているのでしょうか。

これはラジコンの例えを使うとわかりやすいでしょう。ラジコンカーは、あなたがリモコンを持って操作することでコースを走りますよね?

ーーはい。懐かしいですね。

では、こんな状況を想像してみてください。仮にラジコンの仕組みをまったく知らない世界に住む人が日本に来たとしましょう。彼の前で、ラジコン操縦者の姿は隠してラジコンカーがコースを走っているのを見てもらう。すると、その人はラジコンカーが自分の意思でコースを走っているように見えるのではないでしょうか?

ーーたしかに、自動運転しているように見えるかもしれません。

でしょ? それと、今回私どもが開発するロボットは同じ仕組みです。室内に設置した複数台のカメラでPepperの位置情報を把握し、移動する方向や速度をクラウド上でAIが指示してPepperを動かすのです。しかし、Pepperと向かい合っている人は、Pepperが自分の意思で動いているようにしか見えない。

Pepperの頭脳をクラウド上で管理することで複雑な動きが可能となる

ーーなるほど。しかし、なぜそんなまどろっこしい方法をとるのでしょうか? Pepper自身が位置情報を把握できるようなアプリを開発して、それをPepperに埋め込むのは難しいのでしょうか?

もちろん、それも不可能ではありません。しかし、それでは開発に時間がかかるのです。その方法をとると、アメリカや中国のロボット開発のスピードを追い抜けない。

日本人はAIを誤解している

それからAIにかんしても誤解が多いと思います。最近”AI搭載”と謳っている商品が多いですが、これはバズワードを利用した危険なバブルだと思います。

ーーなぜでしょうか?

AI(人工知能)は大きく二種類に分けられます。一つは、大量のデータ、いわゆるビッグデータを集めてそれを解析して何かを出力するもの。 もう一つは人間の脳に近いものです。前者は、「アンケートに答えることでAIがあなたに向いている転職先企業をご紹介します」「洗濯物に必要な水の量や洗い方をAIが分析して最適な洗い方を決定して洗い始めてくれる洗濯機」といった謳い文句で商品やサービスに搭載されているものです。よく聞きませんか?

――たしかに、最近よく聞きます。

しかし、これは厳密に言えば”最先端のAI”ではない。この仕組みは30年以上前から存在していますから。流行り言葉の”AI”を使えば売れるから、と猫も杓子もAIと叫び始めているだけです。

ーーなるほど。

しかし、後者の人間の脳のようなAIを搭載している商品が出始めたのは最近です。AIは既存のデータを集めて命題への最適解を出すのは得意ですが、命題自体を自分で作り出すのは苦手なのです。特に技術的にもっとも難しいと言われるのが「ひらめき」。人がどのようにアイディアを生み出すのか。その過程はAIがもっとも苦手とするところなのです。

日本は世界No.1の”親ロボット国”

16年ぶりにソニーがAIBOを復活させたように、今日本ではロボット開発ブームが再加熱しつつある

ーー”対面でないほうがよい”とは?

たとえば、女性がホテルに泊まった時。ルームサービスをお願いしたくなったら、人のスタッフよりロボットに持ってきてもらったほうが嬉しくないでしょうか? 女性ならばすっぴんで応対したくないし、あまりプライバシーに踏み込んでほしくない。そういう分野はロボットの得意とするところです。

ーーなるほど。今回、大槻さんが”世界を変えるロボット”を開発するにあたって、資金調達の問題は解決しているのでしょうか。

このたび、投資型クラウドファンディングのFUNDINNOで資金調達することを決めました。もちろん、ベンチャーキャピタルからの資金調達をすることも選択肢のひとつですが、我々は日本のロボット開発のファンを増やしたいのです。となると、支援してくれる人の数は多ければ多いほどよい。そこで投資型クラウドファンディングという資金調達方法を選びました。投資行動を通し、投資家さまに人工知能やロボットとは何かを理解し、興味を持ってくれる方を一人でも増やしたいという狙いもあるのです。日本人のロボットファンが増えなければ開発が盛り上がっていきませんから。

ーーロボットに関心を持つ日本人は増えるのでしょうか。

増えるでしょうね。さらに日本は市場が大きくなる。2030年には日本のロボット市場は4兆円になると言われています。私が日本で”ロボットファン”が増えると確信する理由は、日本人のロボットへの愛にあります。

ーー日本と諸外国ではロボットに対する印象が違うのですか?

もう、ぜんぜん違う。日本人は愛着を持ってロボットに接してくれます。ソニー時代、私がAIBOを犬のデザインにしたのには明確な理由があります。ロボットを生き物のように愛着を持って接してほしかったからです。無機質ではないデザインのロボットのほうが日本では好まれるのです。対して、今話題のスマートスピーカーを考えてみてください。GoogleHomeも、Alexaも、無機質なデザインをしていますよね?

ーー工場というか、機械というか。そんなデザインです。

そう。あのデザインの発想はとても欧米的です。ロボット(robot)の語源は、チェコ語のRobotaからきています。このRobotaとは、「強制労働させる」という意味。つまり、ロボットは人間の奴隷のように強制労働をさせるイメージがついているのです。一方、日本では鉄腕アトム、ドラえもん、ピカチュウのようにサブカルチャーがロボットへの愛着を下支えし続けてきました。そのおかげでロボットは奴隷ではなくパートナーという印象が持たれている。その意味で日本は世界でもっとも親ロボット国なのです。日本人が今後ロボットに再び関心を持てば、凄まじいスピードでサービスロボットが普及すると確信しています。

このプロジェクトの募集ページは下記URLよりご覧いただけます。

https://fundinno.com/projects/45

会社名:株式会社日本クラウドキャピタル
第一種少額電子募集取扱業者 関東財務局長 (金商) 第2957号
加入協会:日本証券業協会

撮影:田中一矢

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