<アパレル2.0>服が売れない時代の世界アパレル再興戦略

2018年11月6日 発行者情報


ユニクロ・ZOZOが注目される一方、中小ブランドの停滞が続くアパレル業界。その中で異色の存在を放つオールユアーズが、FUNDINNO(ファンディーノ)・CAMPFIREに挑戦した深い理由とは――。

CAMPFIREなど、イノベ−ティブなプラットフォームを次々手がける家入一真氏。

未来のスタンダードをつくる起業家に投資する彼が次に注目したのは、ファッションだった――。

オールユアーズ。

家入氏が10月31日付けで取締役に就任したアパレルメーカーがそれだ。

「水に濡れないパーカー」「ハイキック(できるほど伸びる)ジーンズ」「絶対に色落ちしない黒パンツ」など、斬新な製品を開発し続けてきた2015年に設立された同社。

この会社を率いるのは、木村昌史氏。

アパレル販売員、アパレルメーカーを経て、同社を設立した彼が掲げる理念は”ファッションの民主化”。

オールユアーズは、服を製造するデザインの段階からクラウドファンディングのページを使い、その製品に込めた想いを発信し、消費者にダイレクトに製品を提供している。

24ヶ月連続でCAMPFIREで支援を募った

前回は目標額の209%を調達した

流行を追わず、普通の人が着続けられる服(=ライフスペックウェア)を次々開発してきた同社。

現在もCAMPFIREやFUNDINNOなどのクラウドファンディングで資金を調達することでそのファンを増やし、”常連客”を増やし続けている。

そんな木村氏の理念に惹かれたというが家入氏がいま、アパレル業界に参画した理由とは――?

今回、同社は株式投資型(FUNDINNO)購入型(CAMPFIRE)の2つで同時に資金調達を開始することになった。


■FUNDINNO募集ページ:
https://fundinno.com/projects/51?utm_source=newspicksmain&utm_medium=main

■CAMPFIRE購入ページ:
https://camp-fire.jp/projects/105030/preview?token=29bbr2an


そこでオールユアーズの木村社長、日本クラウドキャピタルCEOの柴原祐喜氏、株式会社CAMPFIREのCEOでもある家入氏が集結。

アパレル業界の未来、アパレルメーカーに限らず、企業がクラウドファンディングで資金を募る本当の意義を語り合った。

ファシリテーターは海外のラグジュアリーブランドから、日本のドメスティックブランドまで幅広くファッション業界を見てきたファッション誌編集者の軍地彩弓氏だ。

(左から、家入一真氏、軍地彩弓氏、木村昌史氏、柴原祐喜氏)

木村氏がクラウドファンディングを始めた2つの理由

軍地:まずは、家入さんがなぜ今このタイミングでオールユアーズに参画したのかを教えていただけますか?

家入一真(いえいり・かずま)
連続起業家。1978年、福岡県生まれ。中学2年から登校拒否、極度の引きこもりに。新聞奨学生をしながら芸大予備校に通い留年するが、やむを得ず就職。デザイン会社を退社後、22歳の時に「paperboy&co.(現:GMOペパボ株式会社)」を創業。29歳でJASDAQ市場、当時最年少で上場する。その後、国内最大規模クラウドファンディングサービスである「CAMPFIRE」を石田光平と共に立ち上げる。この度、オールユアーズの取締役に就任。

家入:これまで7年間、CAMPFIREを続けていて各業界の課題が明確に見えてきましたし、それがどこも一緒だということがわかってきました。

軍地:なるほど。

家入:たとえば、お笑い。以前、ある関西の芸能プロダクションの社長とこんな話をしたことがあります。「家入くん、うちはこれからどうしたらいい?」と聞かれたんです。そこで僕は「もう芸能プロダクションだけで芸人を食わせるのはムリなんじゃないですか?」って言ったんです。

軍地:正直(笑)。

家入:だって、舞台やテレビに出られる芸人の数って限られているじゃないですか。

軍地:はい。

家入:それに、パイが拡大する右肩上がりの時代はそれでもよかったけど、経済が縮小し、趣向が細分化した今はそれが通用しなくなってきています。
となると、その芸能プロダクション所属の芸人が全員が食えるわけがない。だったら、それぞれの芸人のファンを集めて、そのファンコミュニティ内で経済を回していくモデルになっていくべき。
アーティストも、芸人も、そっちのほうがサスティナブルです。

軍地:そうですね。

家入:事実、クリエイティブなど一部の権威で守られていた業界にも段々とクラウドファンディングへの注目が集まってきてるんです。
クラウドファンディングをファンビジネスの一つの選択肢として活用する人たちが増え、CAMPFIREでも音楽・エンタメ分野の数字が伸びてきている現状があります。

軍地:そして、それはアパレル業界においても例外じゃないと。そういうことなんですか?

家入:まさに。だから木村さんのオールユアーズにジョインすることにしたんです。

■CAMPFIRE(購入型)購入ページ:
https://camp-fire.jp/projects/105030/preview?token=29bbr2an


軍地:実際、木村さんはCAMPFIREでクラウドファンディングを24ヶ月続けられてどうでしたか? ファンが増えていった実感はありますか?

木村:ありますね。思ったより早いスピードでファンが増えていきました。
ただ、ファンができていくことがどれだけ素晴らしいメリットか気づいたのはもっと後です。
僕がクラウドファンディングに挑戦したのって、わりと切実な理由からなんですよ。
アパレルブランドを作ったのはいいけど、最初から順調に売れるわけがなく、もうカネがどんどんなくなっていった。
それで、ついに預金残高3万円しかなくなっちゃって。

軍地:そんなに!

木村 昌史(きむら・まさし)
株式会社オールユアーズ代表取締役社長。1982年群馬県生まれ。大学在学中から、株式会社ライトオンにて店長職や本部勤務をこなす。その後、メーカー勤務を経て、2015年オールユアーズを設立。会社の理念である「LIFE SPEC」の伝道師として精力的に活動中。「CAMPFIRE」にて、24ヵ月連続のクラウドファンディングに挑戦。アパレルブランドのカテゴリでは、国内最高額の支援を調達。また、FUNDINNOでも3000万円以上の資金を調達した。

木村:もちろん銀行にも行ったんですけど、どこにも断られちゃったんです。

軍地:たしかに、アパレル業界を取り巻く環境は日々厳しくなってますね。

木村:あと、もう一つCAMPFIREを始めた理由があって。

軍地:なんですか?

木村:一般的なアパレルのECサイトって、どうしても商品の紹介文字数が少ないじゃないですか。
それだと、こっちの想いを語るには圧倒的に足りない。
たとえば、なんでこの服をつくったのかとか、どういう工程で完成したのか、とか。

軍地:なるほど。一方でクラウドファンディングなら、この服がどうやって作られたか、作り手の思いや、服の機能性など、商品説明ページにたくさん人間味のある情報を盛り込める。

木村:そうなんです。で、1回CAMPFIREで募集してみたら、結構支援していただいて。そこで、僕はクラウドファンディングの本質に気づいたんです。

家入:早いな(笑)

木村:クラウドファンディングって、“コンテンツ型のEC”なんです。
自分たちの製品のストーリーを説明して、自社の商品を買ってもらう。コンテンツを読んで共感してくれた方が買ってくれる。そういう仕組みです。
なのでファンがついてきてくれるし、直接つながっているのでユーザーの声を集めやすいというメリットもあります。

アパレル企業なのに”株式投資型”クラウドファンディングに挑戦した理由

軍地:では木村さんに質問なんですが、株式投資型クラウドファンディングにも挑戦したのはなぜですか? こっちは、購入型とその性質は違いますよね。

■FUNDINNO(株式投資型)募集ページ:
https://fundinno.com/projects/51?utm_source=newspicksmain&utm_medium=main

木村:当初、株式投資型クラウドファンディングに挑戦するのはあらゆる人から反対されたんです。

軍地:そうなんですね。

木村:株式投資型クラウドファンディングのFUNDINNOで資金調達している企業を見ると、IT系が多かったんです。
対して、ファッション系は一般的には水モノと思われているので、投資という面では集まりにくいのでは?と思ったんです。

軍地:なるほど。にもかかわらず、FUNDINNOでも資金調達に挑戦した。

木村:はい。それは、僕が「ファンの数=企業価値」だと思っているのが最大の理由です。
つまり、資金で協力いただける方もファンの一人だと思って挑戦することにしたんです。

木村:そしたら意外にも集まったんですよ。株式投資型のクラウドファンディングでもファンの方に支えていただけることを実感した瞬間でした。

柴原:もともと、僕はオールユアーズさんの服を買ってたんです。つまり、木村さんのファンだったんです。

柴原祐喜(しばはら・ゆうき)
株式会社日本クラウドキャピタル代表取締役CEO。東京都生まれ。カリフォルニア大学、明治大学大学院卒。システム開発、経営コンサルティング会社を起業後、2015年日本クラウドキャピタルを創業。日本初の第一種少額電子募集取扱業として株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO」を開始する。

軍地:あ、そうなんですね!まさにファンビジネスのファンだったんですね。

柴原:で、ぜひうちでやりませんか?とご提案させていただいたのですが、当時は、社内では賛否両論の状況でして……。

軍地:日本クラウドキャピタルの社内でも反対されたってことですか?

柴原:はい。投資家様のご要望を踏まえ初期の掲載方針としてIT関連企業を中心に掲載をしていく方針でした。
なので、アパレルを扱うことに関して反対意見が出たのは事実です。

家入:そこはCAMPFIREと少し違いますね。こっちは音楽とか飲食、あとは木村さんのようなアパレル業界が人気です。

柴原:はい。ですが、木村さんのビジネスモデルを聞くうちに社内でもオールユアーズさんのファンが増えていきました。

軍地:実際にFUNDINNNOで募集開始したらすごいスピードで集まった。

株式投資型クラウドファンディングのFUNDINNOでは3,200万円を超える資金を調達した

柴原:そうなんです。根拠はありました。私やJCC(日本クラウドキャピタル)のメンバーのようにオールユアーズさんの話を聞いたらファンになる人がもっといるのではないか?と。

軍地:なるほど。

柴原:それに、冷静に考えてみたら、うちのサービスと同じだと思ったんですよ。
もともと、FUNDINNNOの設立趣旨は、個人投資家からベンチャー企業に直接投資したほうがいいんじゃない?という考えからスタートしたサービスですから。
サプライヤーと消費者が”直接つながっている”という意味ではFUNDINNOもオールユアーズも一緒かもしれません。

軍地:株式投資型のクラウドファンディングも、ファンビジネスと言ってよいかもしれないですね。
株式投資型と言っても、決して単なるマネーゲームではないし、オールユアーズのビジネスも無個性な服の流通ではない。どちらも「応援」という愛の循環ですよね。

家入「僕は今日、すっごく驚いてるんですよ」

家入:僕は今日、すっごく驚いてるんですよ。

軍地:なぜですか?

家入:購入型や応援型は社長の想いやプロダクトに共感してお金を出す人、つまりファンが多いけど、投資型はちょっと違うだろうなと思ってたんです。

軍地:どういうところが?

家入:投資家はたぶん利回り(リターン)をかなり求めるだろうな、と。
だって株主になるわけですから。IPOしたらわかりやすくリターンがあるわけじゃないですか。

軍地:なるほど。

家入:でも、柴原さん本人もそうだけど、株式投資型クラウドファンディングでもファンビジネスに近い人たちが投資するんですね。それにまず驚いた。

木村:そうですね。株式投資型クラウドファンディングで投資してくれた方もうちのお店に来てくれるんですよ。静岡とかから。

軍地:え!静岡から?

木村:その方と軽く話したら
「地方に住んでる人間には、近所にベンチャー企業がない。じゃあ東京のベンチャーに投資しようと思っても、東京なんてそんな頻繁に行けないからどんな企業があるかわからない、調べられない。 だから、ネットで投資できるベンチャー企業が見つけられる株式投資型クラウドファンディングを使ってるんですよ」と。
あー、なるほどなと思いました。

壁の塗装も、ユーザーを募ってイベントとして実施した

軍地:そういう人たちって、たぶん上場銘柄を見て投資していてもおもしろくないんでしょうね。
ゲーム的に株を買うより、一緒に当事者になってワクワクしたい。企業の成長を仲間感覚で楽しみたいんじゃないでしょうか。

柴原:そういった層の人たちは確かにいますね。それを裏付けるデータがありまして。
以前、FUNDINNOで投資する理由はなんですか?とアンケートを取ったんです。
そしたら、1位は「事業の成長を楽しみたいから」。
一番多い理由だろうと予想されていた「キャピタルゲインが得たいから」は2位でした。


家入「”ファッションの民主化”というオールユアーズのミッションに惹かれたんです」

家入:昔、堀江(貴文)さんが「ファンと株主が一緒になるべきだ」と言って株式分割しまくっていた時期がありましたけど、株も結局そうなっていくんでしょうね。

軍地:大量生産してマスに売るのではなく、そのブランドやデザイナーのファンに売る。
新しいタイプのファッション・ビジネスモデルがもっと主流になっていくんじゃないでしょうか。
クラウドファンディングはその相性がとてもいいですよね。

木村:そうなんです。なので、他の業界もマーケットを広げるという意味でももっとクラウドファンディングを活用して一緒に盛り上げていきたいと思いますし、今ほかのブランドの応援もさせてもらっています。
顧客と成長していくという意思のあるブランドにはクラウドファンディングが一番相性がいい選択肢だと思います。

家入:それこそ僕が木村さんに惹かれた理由です。”ファッションの民主化”というオールユアーズのミッションに惹かれたんです。

木村:僕、家入さんから「木村くんてビジネスモデル研究してないでしょ?肌感覚でやってるからユーザーと感覚近くていいんだよ!」って言われたのがけっこう象徴的だと思っていて。
ユーザーと一緒に企業が成長していくモデルっていう選択肢もあるんですよね。

支援してくれたファンの名前がハンガーに刻まれている

柴原:オールユアーズとクラウドファンディングの共通点って、先にコミュニティを作ることなんですよね。
株式会社って、もともとの始まりは株主同士のコミュニティビジネスです。それから時を経て、いまはテクノロジーでコミュニティを再構築しているんです。

木村:そう思います。それは国境を超えるということも意味します。
実は、いま海外事業を展開しようと思っているのですが、そこでも海外のオールユアーズファンを増やして、共感してくれた方にうちの服を着てほしいんです。

家入:それ、すっごくいい! もうさ、ファンクラブに入れないとオールユアーズの服は買えませんみたいにしたら?

木村:いや、さすがにそれはやりすぎです!(笑)


■FUNDINNO(株式投資型)募集ページ:
https://fundinno.com/projects/51

■CAMPFIRE(購入型)購入ページ:
https://camp-fire.jp/projects/105030/preview?token=29bbr2an

【オールユアーズは株主優待を設ける予定です】
その株主優待内容は
①オールユアーズストア※オンラインストア含むで使える20%OFFクーポン券
②オールユアーズストア※オンラインストア含むで使える20%UPクーポン券
③『オールユアーズで買った服のメンテナンスを10年間無料保証します』
※株主優待制度の詳細は、オールユアーズのHPよりご覧ください
https://allyours.jp

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