なぜ、『起業の科学』の著者がFUNDINNOを応援するのか?<特別鼎談前篇:『起業の科学』田所雅之×日本クラウドキャピタル柴原祐喜・大浦学>
2019年7月2日 コンテンツこのたび、日本クラウドキャピタルは、FUNDINNOでの累計資金調達額が20億円を突破し、また株式投資型クラウドファンディング業界初のExit案件が生まれました。
これに加え、累計5万部を突破した起業・新規事業のバイブル『起業の科学』(日経BP社)の著者でもある田所雅之氏を顧問として迎え、日本のスタートアップ市場を強力に支援する体制構築を行いました。
【後編】(「ヒト・モノ・カネ・キマリ」。日本のベンチャーに最も求められる武器は…?)はこちら
なぜ、『起業の科学』著者が日本クラウドキャピタルを応援するのか?
そこで本稿では、このたび顧問に就任した田所雅之氏と、日本クラウドキャピタルCEO柴原祐喜、COO大浦学の3人で日本のスタートアップの課題、そして今後のFUNDINNOの未来について、さらなる成長を歩むべく熱く交わした議論の内容を掲載しました。
――FUNDINNOのサービスが開始されて凡そ2年が過ぎました。累計資金調達額が20億円を突破したこのタイミングで、田所さんが日本クラウドキャピタルの顧問としてジョインされた理由をおしえてください。
田所:スタートアップの新たな資金調達手段としてFUNDINNOに注目していたから、というのが大きいです。日本で先に普及したクラウドファンディングの形態である「購入型」や「応援型」との違いで言えば、FUNDINNOの場合、投資先のサービスはもちろんですが、株式投資型クラウドファンディングというプラットフォーム自体を盛り上げたいというインセンティブが働きますよね。
大浦:そうですね。最近では、FUNDINNOで投資家さまだった方が、自ら発行者さまになってFUNDINNOで投資を募るというケースも出てきています。これは、特定のスタートアップ企業を応援するというよりは、株式投資型クラウドファンディングという「仕組み」を応援していきたいということにほかなりません。
田所:参加者同士で「正のネットワーク」が形成されているわけですね。投資をしてリターンを得ることだけを目的としたフリーライダーではなく、自分たちが当事者意識をもってコミュニティ形成に寄与し、貢献意識が生まれている。それはFUNDINNOの大きな強みになってくると思います。
大浦:最近は投資家さまとのミーティングを開く機会を設けていますが、“ファン”が増えていることはサービスを開始して2年で強く実感しています。これはとても嬉しいですね。
田所:しかし、FUNDINNOについては情報が正確ではない形で伝わっていることもあるのではないでしょうか。たとえば、株式投資型クラウドファンディングで資金調達をすると、一度に株主が増えすぎて株主総会が揉めるのではないか、とか、その後VCから資金調達が難しくなるのではないかという懸念とか…。
大浦:たしかに、その懸念が耳に届くこともあります。しかし、FUNDINNOで資金調達する場合、発行者さまと株主さまとの契約は独自のものを作成しており、そうした懸念が払拭されていると思います。また、FUNDINNOで資金調達をしたことがきっかけでVCから二度目の資金調達ができた事例も少なくありません。
ーーなるほど。そうした発信はもっとしていくべきかもしれませんね。
大浦:何より、資金調達が難しいシード期のベンチャー企業にとっては、FUNDINNOを使えば案件開示まで最短3週間で数千万円の資金調達も可能であり、自社を応援してくれる“ファン株主”も同時に集められるという大きなメリットがあります。
田所:つまり、サービスを提供している日本クラウドキャピタルと、起業家やベンチャーキャピタルの間で、まだまだ「情報の非対称性」があるわけですね。
大浦:そうかもしれません。
田所:現在、僕は日本のスタートアップマーケットにはびこるこうした誤解や情報の非対称性を埋めるべく奔走しているところです。そして、これが日本クラウドキャピタルの顧問に就任し、応援しようと思った理由の一つになります。
田所氏が「資金調達手段は多いほどよい」と語る理由
――ユーザー登録者数が16,600人を突破し(2019年6月19日現在)、着実に成長しているFUNDINNOですが、これから求められるのは、スタートアップへの投資でどれだけの“夢”を描けるかということではないでしょうか。それは、エグジットによる金銭的リターンだけではなく、事業の拡大によって、社会変革を実現できるかという点も含みます。端的に言えば、「事業者、株主ともに本当にハッピーになれるのか?」という問題です。
田所:それはアメリカの事例を示せばよいでしょう。有名な企業で、みなさんがハッピーになったスタートアップといえば、Instagramです。あの会社はアプリの提供を始めてからわずか1年半でFacebookによって約7億1500万ドルで買収されました。そして、現在、インスタグラムのユーザーは6億人を超えて、単体の時価総額も5兆円を超えていると言われています。つまり、買収した Facebookもハッピーになったわけです。アメリカの場合、スタートアップのエグジットは8~9割がM&Aです。この場合、事業者も、株主もみんなハッピーになっていると言えますよね。そして、言うまでもなく社会に大きな価値とインパクトを与えています。
ーーたしかに、今やInstagramのない世界は考えられません。
田所:こうしたわかりやすい“夢”があるので、テッククランチによるとアメリカでは年間のベンチャーに対する投資額は 820億ドル(2018年)になる と言われています。注目すべきは、資金調達額が大きいことに加え、資金調達の手段が多いことです。株式投資型クラウドファンディングも含め、スタートアップの資金調達手段は、多ければ多いほどよい。
――なぜですか?
田所:非上場株式のエコシステムを自分たちでつくることで、極端な短期の評価に晒されることを避けられるからです。ベンチャー企業は、自社を支援してくれる強力な株主やVCがいるので、長期的な視座で会社を大きくできます。メガベンチャーが生まれる背景には、こうした資金調達の盤石さがあることは間違いありませんから。これも、私がFUNDINNOを応援する理由の一つです。
日本のスタートアップ業界、最大の課題は……
――ほかに日本のスタートアップ業界に課題があるとすれば、なんでしょうか。
田所:いま申したように、アメリカはベンチャー企業と投資家間の情報の非対称性が比較的少ないため、長期的な視点での投資が目立ちます。起業家〜投資家〜それをサポートする弁護士などが相互に支え合うコミュニティ/エコシステムが確立されている。一方、日本は、スタートアップと投資家との情報の非対称性が大きいのです。そのため、双方のコミュニケーションの活性化が必要でしょう。
ーーなるほど。
田所:日本に限りませんが、ベンチャー起業の投資家の中にはまだ起きていないリスクに対して、それがカバーされていないという行き過ぎた批判をするケースがあります。当然、事業にリスクはつきものですが、ベンチャー企業の場合、トラックレコード(過去の実績や履歴)の積み上げには時間がかかります。もっとコミュニティ的に信頼し合う関係が求められます。
大浦:冒頭に田所さんがおっしゃったように、FUNDINNOも株主数が多いなど、様々な懸念を耳にすることが少なくありません。が、それは究極的に言えばサービスを提供している我々が実績を残すしかないと思っています。
――そこでいう“実績”というのは具体的にはなんでしょうか?
大浦:田所さんがおっしゃっているエグジット実績に加え、反社会組織の排除の徹底や、弊社の意思決定のプロセスを明確にして、外に打ち出していくことですね。これによってクリアで信頼される企業であることを示していきたいです。
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鼎談の前半はここまで。
後半は、「日本とアメリカの起業文化の背景」を田所氏に語ってもらい、いま日本のスタートアップにもっとも求められる要素を中心に語ってもらった。
【後編】(「ヒト・モノ・カネ・キマリ」。日本のベンチャーに最も求められる武器は…?)は こちら
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