ファンケル創業者・83歳池森賢二氏がFUNDINNOを応援する根拠ーー特別対談・柴原祐喜×池森賢二
2020年9月29日 コンテンツ株式会社ファンケルは、多くの年代に愛される化粧品を世に送り出し、機能性表示食品で国内シェア1位をほこるなど日本を代表する企業のひとつです。
同社の創業者が、今年83歳となられた池森賢二氏。
池森氏は、自身でベンチャー支援組織を立ち上げるほか、投資への造詣も深く、エンジェル投資家としても知られています。
そんな池森氏から、日本クラウドキャピタルは投資をいただいております。
なぜ池森氏は投資を決められたのでしょうか。
日本クラウドキャピタル代表取締役CEOの柴原祐喜が池森氏と対談し、その真意に迫りました。
◆柴原「ちょっと褒め過ぎじゃないですか?(笑)」
柴原祐喜(しばはら・ゆうき)
株式会社日本クラウドキャピタル代表取締役CEO。東京都生まれ。カリフォルニア大学、明治大学大学院卒。在学中にシステム開発、経営コンサルティング会社を起業。2015年、日本クラウドキャピタルを創業。日本初の第一種少額電子募集取扱業として株式投資型クラウドファンディングサービスFUNDINNOを開始する
柴原祐喜(以下、柴原):これまで日本クラウドキャピタルは、さまざまな財界の方からご出資をいただいておりましたが、池森さんのようなビジネスの第一線で活躍し続けている方から支援をいただけたことに、改めて感謝します。なぜ、我々を応援いただいたのでしょうか?
池森賢二氏(以下、池森):私は柴原さんを含め、日本クラウドキャピタルさんに非常に期待しているんですよ。御社は、本気で日本を変える可能性があると思っています。
柴原:ありがとうございます。ただ、私が今日まで池森さんとお会いしたのは1時間ほどです。私のことも、JCC(日本クラウドキャピタル)もちょっと褒め過ぎじゃないですか?(笑)
池森:いえいえ、そんなことはありません。私は株式投資型クラウドファンディングが普及すれば、日本の“投資の民主化”が進むと思っています。日本人の大半は投資に関心がない。しかし、お金がもっと民間に循環すれば、世の中がまわります。預貯金一辺倒の日本人の常識が大きく変わるわけですから、私は株式投資型クラウドファンディングが広がるのが純粋に嬉しいんですよ。
柴原:それは我々が目指す世界なので応援していただけるのは大変ありがたいです。ちなみに、株式投資型クラウドファンディング先進国のアメリカは、日本よりも早くサービスがスタートして、市場規模も大きいです。
池森:ということは、日本にはまだまだ伸びる余地があるということでしょう。金融庁も「つみたてNISA」をスタートするなど、投資する人を増やそうとしていますが、まだまだこれからですよ。
◆ファンケルとFUNDINNO、共通の“苦難”とはーー
柴原:実は、池森さんにお会いする前から、私は過去のインタビュー記事を読んで池森さんのことは存じておりました。特に、ファンケル時代の厚生労働省との闘いには胸を打たれました。これは今我々の金融庁との折衝にともなう苦難と重なるところがありまして…。
池森 賢二 氏(いけもり・けんじ)
ファンケル創業者
1937年生まれ。80年無添加化粧品の販売を1人で開始し、81年ファンケル設立。2005年に名誉会長に退くも、13年経営再建のため復帰し、V字回復に成功。その後、創業一族の株式をキリンHDに売却。現在は池森ベンチャーサポート合同会社代表。
池森:厚生労働省との“無添加”をめぐる交渉の話ですね。今では広く普及していますが、無添加化粧品を定着させたのはファンケルなんです。1980年代の化粧品は添加物が入っているものばかりでした。この添加物による肌荒れが社会問題になっていたんですよ。そこで、身体のことを考えて添加物を入れない化粧品を作ったのですが、これが当時、厚生労働省に目をつけられました。
柴原:無添加化粧品の取り扱い自体が前例のないものだったため、厚労省からのチェックが多かったということですか?
池森:そう。当初は、カタログからチラシまで私たちが出すものは全てケチをつけられました。ただ、そこで四苦八苦した結果、最終的にはファンケルのような広告ならセーフなんだと他社がファンケルの広告を模倣するようになりましたが(笑)。
柴原:つまり、ファンケルは1980年代当時、業界のファーストペンギンだったんですね。そこも、日本で最初に株式投資型クラウドファンディング事業を開始した弊社と重なるところです。
池森:同感です。“ファンディーノ”と“ファンケル”、どちらも“ファン”がついて似てますね(笑)。柴原さん、何より重要なことは、事業の信念を貫き通すことです。ファンケルは、添加物が入っている化粧品は身体に悪い、だから無添加のものを作る、この一点を信念として持っていました。信念を貫き通しています。日本のベンチャー企業の資金調達をより容易にしたいという信念を持つFUNDINNOもそうでしょう?
柴原:はい。私たちの場合は金融庁が管轄になりますが、法令に遵守していても、前例がないことを理由に突き返されることがあります。しかし、そこは粘り強く何度も書類を提出して、これまで100社以上の資金調達に成功しました。
池森:やっていることは正しいですし、柴原さんは信念を貫けるタイプなので大丈夫です。それに、金融庁としても日本人の投資欲の低さを改善したいと考えているでしょう。彼らはFUNDINNOの最大の味方ですよ。いずれは金融庁から感謝状をもらうなんてこともあるかもしれませんよ(笑)
◆池森氏がJCCに投資した最大の理由“ワクワク感”とは?
柴原:私たちからすると、池森さんをはじめとした60代、70代、80代の名だたる経営者の方々から弊社に投資いただけたという事実は、バトンを預けて頂いたのだと認識しています。この大切なバトンを、今度は私が60代、70代、80代になったときに次世代につなげていかなければいけないと考えています。そのために、現在新たな取り組みを始めています。
池森:新たな取り組みとは?
柴原:FUNDINNOで資金調達したベンチャー企業の未上場株の売買ができる仕組みを整えています。現状、FUNDINNOでは未上場株に個人が投資をしても自由に売却することができません。それが流動性を持つようになれば、よりベンチャー投資は活性化すると考えています。
池森:なるほど。それこそ金融庁絡みで大変でしょう(笑)。未上場株の売買、換金の場ができたら、それは画期的です。ぜひやり遂げてほしいです。
柴原:今よりも次世代の経営者がより起業しやすい、より事業展開しやすい環境を作ることができるんです。
池森:柴原さん、ここまで話していて、やはり私は今がすごく楽しいと気づきました。
柴原:どういうことですか?
池森:柴原さんは先ほど私から投資を受けたことをバトンに例えましたが、投資をする側から見ると、投資をしたことでワクワク感を持つことができるんです。これは投資した人しかわからないかもしれませんが、自分が投資した事業が広まった世界を想像するとワクワクするんですよ。この“ワクワク感”が投資の醍醐味なんです。そして、この気分をまだFUNDINNOで投資していない人にも早く実感してほしい。
柴原:それはFUNDINNOで投資されている方もよく口にされています。ベンチャー投資の醍醐味は、未来を考えている、未来の当事者になっている“ワクワク感”なのだと。
◆ベテラン経営者池森氏の「アフターコロナの攻略法」
柴原:最後に、経営者の先輩として池森さんに伺いたいことがあります。
池森:なんでしょうか。
柴原:今なお、新型コロナウイルス(以下、コロナ)の影響が各所に出ていて、私たちが関わっているベンチャー企業でも困っている企業がたくさんあります。この対談も、対面ではなくZOOMで進めています。その意味で、これまでの常識が一気に変わりました。池森さんはコロナの影響をどのように見ていますか。そして我々はどのようにすればよいでしょうか。
池森:大変いい質問ですね。私は2020年上半期を振り返って、時代の流れがより早くなったことを感じています。これからコロナの影響で色々なものが新しくなっていくはずです。事業としては、従来のようにやっていては難しいところが多いでしょう。
柴原:はい。業績も二分されています。
池森:キーワードはスピードです。結局、変化は誰にでも、どの企業にも平等に訪れている。そこで変化に対応するのは当たり前。差がつくのは環境適応までのスピードなんです。緊急事態宣言下で売上を伸ばした企業は、どこも意思決定と行動が早かった。重要なのは、環境適応能力以上にスピードなんですよ。
柴原:なるほど。
池森:例えばカラオケなどがそうだと思うんですが、新しい時代のカラオケもこれから生まれるかもしれません。繰り返しますが、変化はチャンスであり、勝敗の分かれ目はスピードにあります。
柴原:ありがとうございます。今後も、我々でどんな新しいことができるだろうか考え、スピーディに進化して参ります。
池森:すばらしい。またワクワクしてきましたよ(笑)