Product -プロダクト-
最新技術を活用した5つのイノベーションにより、漁業版SPAを実現
① IoT&最先端のロボット技術によって養殖の効率化・自動化を実現
◆ 海のアメダス
養殖魚への適切な餌の量にとって重要な条件、水温、溶存酸素濃度、塩分濃度を、設置した計測ブイで自動計測(従来は、その都度人が生簀に行って計測)します。
そして、計測値を携帯電話の電波によってネット上のクラウドに送信。誰もがタブレットなどで数値を見ることができるのです。
◆ デジタル操業日誌
タブレットに入力するタイプの日々の養殖操業日誌を作ります。そこに、海のアメダスでの計測値に基づいた適切な指示(この日は餌をやるかやらないか、餌の量等)が示されます。
これらによって、従来は人の勘に頼っていた養殖魚への給餌(餌をやること)が、科学的に魚体によって最も適切な形・量となり、無駄な餌や労働が無くなって、養殖が大きく効率化します。
◆ ドローン船による完全自動給餌
IoTによる養殖効率化システムと連動させて、「ドローン船」(無人で生簀まで行き、作業が可能な船)によって給餌そのものを完全自動化させる研究開発も、ロボット工業会の予算を獲得して進めています。
▲ KDDIや福井県立大学と共にシステム研究開発を行っています。(発表のプレスリリース内容:こちらをご覧ください)
② 酒粕と、離島・沿岸地域の未利用魚で、低価格で高機能な養殖魚の餌を創造
◆ 酒粕を利用したエサの研究
日本酒醸造の副産物である酒粕は、素晴らしい栄養価を持つにもかかわらず、そのほとんどが廃棄されています。その酒粕を、養殖魚の餌として利用し、高騰する魚粉の割合を減らし、栄養価は残しつつ餌のコストを下げる取組みを行なっています。
そして、クラウド漁業と福井県立大学海洋生物資源学部との共同研究で、酒粕入りの餌の開発に成功し、既に、小浜市田烏のサバ養殖生簀で、実験的に養殖を進め、成功しています。
酒粕入りの餌と一般的な餌をサバに食べさせて比較する実験では、酒粕入りの餌を食べたサバは、一般的な餌を食べたサバの約70%の量しか食べないにもかかわらず、体重が約1.2倍になることがわかりました。
サバの美味しさを左右する脂質も多く、また血液検査データなどでもきわめて健康体です。つまり、少ない餌の量で、健康的に効率よく成長し、美味しくなっているのです。
◆ 離島の未利用魚をエサにする研究開発
日本の全体の約4分の1の漁獲量は離島地域からの漁獲になります。しかし、そこで上がる魚の多くが廃棄されているという信じ難い事実があります。
離島から、本州などへ魚を送る際に、あまり高い値段のつかない小さな魚は物流コストのほうが大きく、かえって損をすることになるからです。それらの魚は「未利用魚」と呼ばれ、資源として注目されています。
クラウド漁業は、それらを使って養殖魚の餌を作ることを考えました。今まで捨てられていた魚を買い取ることで、漁業者にも利益が生まれます。そして、まだ養殖が行われていない離島で養殖を始め、製造から使用までを離島で行えば、物流コストもかからず餌にかかるコストを抑えるこができるのです。
私たちは、未利用魚の産地として島根県隠岐郡(隠岐の島)海士町漁業協同組合の協力を受け、福井県立大学海洋生物資源学部と共同で、未利用魚と従来の餌の原料を1:1にした新しい餌を試作し、実際にサバに与える実験を行っています。
◆ エサのコスト削減による相乗効果
私たちは、「酒粕」と「未利用魚」を利用することで、養殖魚の餌のコストを上げている魚粉の割合を大きく減らし、餌の価格を抑えました。 現在、平均すると約250円/kgの餌を、130円/kgで養殖漁業者へ販売する事が可能です。
また、エサの製造拠点を1箇所に作ることは考えていません。全国各地の離島地域に小さな製造拠点をひとつひとつ作っていきます。それにより、養殖の物流コストを抑え、また生産地に新たな雇用も創出します。さらに、魚の栄養価を高めるために、エサに酵母菌を活用した研究にも、私たちは取組んでいます。
③ 魚種を混合する混合養殖により低コスト化と高付加価値を両立する「天然養殖」を実現
混合養殖とは一つの生け簀に様々な魚種を養殖する事を指す造語です。 混合養殖をしている養殖業者は未だかつていません。 何故なら捕食関係というものが存在するからです。
では、なぜ水族館の水槽内の魚達は、共存可能か? それは【常時給餌】を実施しているから。 常に餌が供給されてお腹を空かせる魚がいないから、わざわざ水槽にいる魚を追いかけて食べる必要がないんです。
それはつまり、適切な給餌を行う事で捕食関係の魚類も養殖は可能であるという事。その仕組みを、IoTとドローン船で行なえば常時給餌による混合養殖も可能になります。
混合養殖のデメリットをあげるとしたら、
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◆サイズを揃える事が不可能に近い
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◆在庫管理がしにくい(通常の養殖同様)
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◆生産履歴について書きにくい
決まった規格(サイズ)に揃えて出荷が一般的なスーパーや回転寿司などですが、 自分達で出口戦略(飲食店に直接卸す等)やコンセプトを持つことでデメリットはなくなり、 メリットである、
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◆選別をする必要がない
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◆様々な魚種を一度に養殖できる
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◆自然環境に近い状況で養殖可能に
更には現場での、労働力の軽減やコストダウンにつながり皆にとって良いこと尽くめに!
④ これらの研究成果を統合させた革新的な養殖育成モデルを実現し、離島を中心に普及
「酒粕・未利用魚・酵母による新しい餌で実現する養殖のコスト削減」「IoT&ドローン船による養殖効率化」「それらを活かした新しい天然養殖」この3つの研究成果をパッケージした新しい養殖の形を、クラウド漁業の養殖育成モデルとします。
そして、特に日本各地の離島地域の自治体、漁協、漁業者にそれを提供し、私たちが最初のプラットフォームを作り、自走できるまで導きます。
その後、餌の販売を行い、ライセンスに基づくフィーをいただきながら、各地に専門のスタッフを常駐させ、常に寄り添っていきます。これが、私たちクラウド漁業が実現に近づいている新しい漁業SPAの入り口(生産)です。
⑤ SABARと新業態の飲食店によって確かな出口(消費)を創出・確保
◆ 鯖街道よっぱらいサバの、SABARでの販路確保
酒粕を餌に含めることで食味を向上させたサバを「鯖街道よっぱらいサバ」としてブランディング(ブランドに対する共感や信頼などを通じて顧客にとっての価値を高めていく方針です)します。
そして、クラウド漁業、鯖やグループのフラッグシップ商品のひとつとして、まずSABARを中心に販売を展開し、将来的には大手回転寿司チェーンなどをはじめ、全国の多くの飲食店にも卸していきます。
今冬の試験出荷は約1200尾、来春には4000尾、最終的には田烏地区のキャパシティを満たす1万尾/1シーズン×年2回の出荷を目指しています。
さらに、入り口側の養殖効率化を成功させることによって、現在は限定された地域で試行されているサバ養殖地を飛躍的に拡大し、年間100万尾を超える出荷を目指します。
◆ 新業態飲食店「漁師の串」での販路確保
さらに、クラウド漁業は、サバだけに限定されない、むしろ多くの人々がまだ食べたことのない多種多様な魚種を扱う、新たな業態を創造します。
そのひとつが、「漁師の串」という名の魚串専門店において、存在感のある串ものと多種多様な魚種を組み合わせる、そのコラボレーションによって、私たちは新たな市場「魚串専門店」の開拓者となります。
その市場規模は5,000億円超(※1)を見込んでおります。漁師の串では、沿岸地域では福井県小浜市や長崎県佐世保市、離島地域では隠岐の島海士町などが、既に魚の供給地として始動しています。
※1 国内串焼き市場規模約5,000億円【国内「料飲店(酒類と食事を提供する店)」市場規模55,874億円(2015年)の内訳割合に基づく推計】と、魚介を提供している料飲店の市場規模約3兆円【料飲店中最も多い「居酒屋・炉端焼き業態店舗数約125,000から推計】からシミュレーションしています。
Milestone -マイルストーン-
下の表は現時点において今後の経営が事業計画通りに進展した場合のスケジュールです。そのため、今回の資金調達の可否、調達金額によって、スケジュールは変更となる場合がございますので、予めご了承ください。
売上高は事業計画を前提としており、発行者の予想であるため、将来の株価及びIPO等を保証するものではありません。
また、上記のサービス追加は、今回の資金調達に伴って行われるものではなく、今後、新たな資金調達を行うことによる追加を計画しているものです。なお、新たな資金調達の方法は現時点において未定です。
Trigger -きっかけ-
クラウド漁業 挑戦のきっかけ
鯖やグループの創設者であるサバ博士こと右田孝宣は、唯一の商材であるサバの供給が不安定さを増していることを通して、日本の漁業が危機に瀕している状況を目の当たりにし、自らに何か果たすべき使命はないかと考えていました。
そのようなとき、福井県小浜市の産学官民連携の取り組みに加わることになり、今まで以上に生産地との結びつきを強めていきました。そこで、生産から消費までを一気通貫する漁業版SPA、すなわち製造小売業態が漁業の危機を救う可能性を持っているのではないかと考えるようになりました。
そこで、鯖や副社長である右田孝哲、バイオベンチャーの研究者であった横山拓也を加え、株式会社クラウド漁業を設立するに至ったのです。