事業計画書は「企業の羅針盤」

2019年9月17日 コンテンツ

映画『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』の、投資グループBBC誕生の瞬間のシーン。若者たちは、主人公のディーンが打ち上げる事業計画に賛同し、BBCは華々しいスタートを切ります。

ベンチャーは新規事業、つまりこれまでにないものを形にします。新しい事業を始めるということは、従業員の雇用も会社の存続も投資家の損益もかかった一大事です。これを成功させるためには、人を巻き込みうる合理的な事業計画が不可欠です。

ステークホルダーと言われる役職員、投資家など事業に関連する関係者たちを、口約束や情熱だけで動かせるはずもなく、起業家は「事業計画書」という形にして、彼らに説明しなければなりません。

事業計画書の作成は大変な作業ではありますが、アウトプットのために頭の中にある漠然としたものを整理するので、ビジョンがより具体的になるというメリットもあります。

また、事業計画書は一度書いたらおしまいではなく、むしろ定期的に見直して微調整と改善を図ることが大切です。

事業計画書の用途としては、経営者の考えを社員や他の従業員にも伝えるため、社外へプレゼンテーションするため、金融機関からの資金調達をするためなどがあります。

また、事業計画書の分量については、A3で1枚、パワーポイントで10枚以内など様々な見解がありますが、「誰に何をわかってもらいたいのか」によります。銀行から資金を借り入れる時に作る事業計画書と、銀行から借入をしないベンチャーの事業計画書とでは、自ずから内容にも分量にも違いが出ます。

ただ、最初に骨格をシンプルに作っておくと、必要に応じて詳細な計画を付け加えることができるでしょう。

一般的な事業計画書は次の5つの重要項目で構成されます。

  1. 要約
  2. 会社概要(創業者経歴、創業の動機)
  3. 事業の説明(ビジネス全体の俯瞰図)
  4. 数値計画(損益や資金などの計画)
  5. 資本(資金調達、資本政策)

1.は、事業計画の要約であり、エレベータ・ピッチのイメージで、一読で「これは面白い」と思ってもらえる文章が求められます。創業初期段階においては、VCはここしか読まないともいわれますが、2〜3回目の資金調達になってくると実績等もかなり見られるようになります。

2.の「会社の概要」は、会社資本金などの基本事項、経営陣の概要(略歴、職歴 )、 組織図 、現在の事業内容の概要、顧客その他です。

3.は、メイン事業の説明、マーケット概要、市場規模、市場構造 (競争環境、KFSなど)です。

4.は、事業の基本的な戦略、販売・人員計画、損益計画、資金計画などです。
この数値計画には顧客数、売上、シェア、単価などの前提条件、売上原価 、広告費・販売促進費 、人件費、福利厚生費等、賃料、減価償却費、その他経費、営業外費用、法人税等、貸借対照表項目、キャッシュフローといった項目が含まれます。

5.は、エグジットをどうするか (IPOを目指すのか、M&Aを志向するのか)、想定企業価値の根拠、資金調達の枠組み、株主構成 (資本政策表 )などです。
 投資家は事業計画を重大な関心を持って見てくれる人の一人なので、事業計画をどう書くかは、「どういった投資家に投資してもらうのか」つまり資本政策によっても異なります。

よい事業計画書を作成するポイントは、「5W1Hが明確」「計画が堅固」「数字等の根拠が示されていること」です。さらに、事業計画書が明確であるのは当然のことながら、起業家が描いた未来像を実現させると信じる力強さと熱量が根源にあることが最も大切です。

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