AIを使った性格データによる「業界の世直し」が次々と始まる!
―― FUNDINNOで約5,000万円を調達をされましたが、この数字をどう分析していますか?
山内
「FUNDINNOで掲載する方向で決まってから開示まで、所要期間はわずか一ヶ月半ほどでした。VCなどにも当たっていましたが、我々の希望する金額を調達するまでにはどうしても時間がかかるなと。ベンチャーにとっての数か月は本当に貴重なので、FUNDINNOさんにお願いして本当に良かったです。
我々は普段VCを相手にしているので表現が専門的になってしまいますが、一般の投資家の皆さんに向けたコミュニケーションが必要であることを教えていただき、難しいことをわかりやすい文章で表現することのサポートがあったおかげで目標金額に限りなく近づけたと思います。」
―― FUNDINNOで調達した資金の使途を教えていただけますか?
山内
「調達資金の使途は、AIの研究・開発・モデル製作です。現在は3月に本格的に出来上がったモデルを実際の広告に応用したり、大手企業にコンサルティングの営業をしています。
研究・開発は、実際は人件費です。弊社には非常に優秀な開発メンバーが在籍していて、まずデータサイエンティストが二人います。一人がAIと統計学、一人がAIと心理学が専門です。加えてフロントエンドのエンジニア兼ディレクターが一人。AIは開発が命です。研究開発の会社は人ありきなので彼らをとても大切にしています。
もう一つ、研究費として大きいのはデータ購入費です。大手人材系の会社さんからユーザーデータをいただいたりもしていますが、最初の教師データはどうしても自前で作らなければならないので、ある程度の予算を割いてデータを購入しました。やはりAIのモデルの出来を決めるのは最初の教師データの質です。そこが間違っているとモデル全体のその後がうまくいかないので、そこにはお金をかけました。慎重にかつなるべく量も集めたいので、ここはまとまった資金がないとできません。
開発具合は当初の予定通りで、今はAIの成果指標POC(AIのモデルが正しいかどうか、概念を証明する)を確認するステージです。そこを達成すると次のステージになり、次の投資も具体的に進みます。
また、予算の進捗も計画通りで、大きなズレも発生しておらず、資金的には少し余裕があります。」
―― 広告事業も進んでいるようですね。
山内
「我々が注目しているのが「性格」です。性格はそのうち50%が遺伝的に形成された後に15歳くらいまでで一旦固定して、その後は80%が死ぬまで変わらないとも言われています。
こうした性格について我々は、普段の行動、経験の積み重ねであると思っています。どういう人とどういう話をし、どういう風土で育ったか、そういう全部の経験が積み重なって性格になり、我々人間が物事を判断する時、その性格が自動的に作動します。
今、広告やマーケティングの業界では個人情報の規制が非常に強くなっており、ユーザーの生のデータを扱いにくくなっています。その中で、ペルソナを作って属性を推測する技術が今後出てくると思います。
このペルソナの作り方において、おそらくAIがモデル化(推定)していくことになります。これまでも住んでいる地域や歳は推測できましたが、これだけでは広告を打つ材料としては足りないので、そこに性格を加えていくことで、そのユーザーがどういう商品を望んでいるかを企業側が理解して広告を出すのです。
根本的問題として、ユーザーは広告を嫌っています。アップルでもグーグルでもウェブサイトの広告をブロックする有料アプリが売れています。それをやられるとメディア側はどうしようもありません。
しかし、広告自体は企業とユーザーをつなぐ存在としてネット上になければいけないのでユーザーに不快な広告を出さない方向に行くしかありません。ユーザーが好む広告はどういうものかを考えなければいけないのです。
これを個人情報抜きでやるにはユーザーのペルソナを推測する必要があり、そこに我々のAIが活用されていくと考えています。」
―― 今後、どのような展開を目指しますか?
山内
「一つには、メディア業界に携わってきた人間として、広告の健全化をやっていきたいです。広告主が届けたいメッセージは、ユーザーの「見たい」「読みたい」につながっていたのか?本当に必要な人に届いていたのか?そこを解決するためにはユーザーのニーズを今まで以上に理解する技術が必要です。
その上で我々が最終的に目指しているのは、「捨てるところのない社会」の実現です。例えば就職で考えるとわかりやすいと思うのですが、どこかの会社に入ってうまく行かなかった方でも、他の会社に行ってみたらうまく行く、ということがあります。
結婚でも買い物でも同じようなことが言えると思うのですが、要はスペックの世界観を超えて、相性の問題を科学的に解明していきたいです。世の中に大量に存在するビッグデータと我々のAIを組み合わせれば、それは決して不可能なことではありません。」
―― ファンディーノを使ってよかったことは何ですか?
山内
知り合いから案件を募集していることを知ったので、無理やり申し込ませていただきました。ちょうど自分たちのアイデアをできるだけすぐに形にしたかった時期だったので、本当にタイミングとしてありがたかったです。追い風になりましたね。
―― これからの発行者さんに対してメッセージをお願いします。
山内
これまでにない方法なので、ファンディーノを使うことに不安を持つ人もいると思いますが、考えすぎて時期を逃すリスクに比べれば、新しいことにチャレンジするリスクの方が、少なくとも起業家にとってはレバレッジが効いていると思います。
それと、起業家の皆さんは新しい株主のことを気にされると思いますが、個人的に、ファンディーノの投資家さんは、リターンをガツガツ取りにいくよりは、応援したいという気持ちが強いように感じていて、これだけ多くの方が自分たちの事業を応援してくれている、というのは大きな励みになっています。
中には定期的に連絡を取っている人もいますし、アドバイスをいただいたりもしています。これもファンディーノを使って良かったことの一つですね。
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