売却した年に受けられる優遇措置

エンジェル税制は「投資した年」と「売却した年」の2回優遇措置が受けられます。

本ページでは、対象となるベンチャー企業にご投資され、その後、そのベンチャー企業が
・IPO/M&Aなどして『譲渡益』が出た場合
・倒産/解散などにより『譲渡損失』が出た場合
について解説します。

簡単に概要を理解されたい方は、ぜひ動画をご覧ください。


IPO/M&Aなどして『譲渡益』が出た場合

優遇措置Aまたは、優遇措置B対象の企業の場合、株式投資時に優遇措置を受け、投資時で課税されなかった投資額も含めて、株式譲渡益として課税されます。(課税の繰延)

優遇措置Aの場合、対象のベンチャー企業へ投資した金額から2000円マイナスした金額を総所得から控除しているので、2000円分は課税対象となります。



優遇措置Bの場合、対象のベンチャー企業へ投資した金額を控除しているので、対象のベンチャー企業へ投資した全額が課税対象となります。



対して、プレシード・シード特例対象の企業の場合、投資時で課税されなかった投資額が20億円までは非課税となります。

20億円を超える投資分については課税の繰延の対象となりますのでご注意ください。



倒産/解散などにより『譲渡損失』が出た場合

投資したエンジェル税制対象企業が倒産や解散などして譲渡損失が出た場合、または、売却により損失が生じた場合、その年の他の株式譲渡益と通算(相殺)できるだけでなく、その年に通算(相殺)しきれなかった損失については、翌年以降3年にわたって、順次株式譲渡益と通算(相殺)が可能な場合があります。


CHECK POINT

・未上場株式と未上場株式の相殺は、エンジェル税制を使用しなくても可能

・上場株式と未上場株の相殺は、エンジェル税制の優遇措置でのみ可能

・エンジェル税制適用外企業や新株予約権で募集をした企業の場合は、その他株式譲渡益と損益通算は不可能

なお、倒産/解散などにより『譲渡損失』が発生した際のご注意点は、投資した年に優遇措置を受けた場合には、その控除対象金額のうち、課税繰延分を取得価額から差し引いて売却損失を計算するという点です。



優遇措置Aを使っている場合の具体例で説明します。

30万円のベンチャー投資を行っている場合、30万円-2,000円で29万8,000円が所得控除として投資した年にメリットを受けることができます。

しかし、29万8,000円はすでに優遇措置をうけているので、取得時の課税対象である2,000円のみが、損失額となります。

つまり、実質的には数百円程度の節税となってしまいます。

手続きの煩雑さに鑑みて、活用を決める必要がありそうです。

却時に受けられる優遇措置について解説している動画もございますのでご覧ください。